「4月23日」
黙祷。いまだに行方不明の方々がご家族のもとに戻る日がきますように。
あの日から一年。2022年4月23日、私は自然観察ツアーの案内で森を歩き海を眺めていました。午前中は風もなく穏やかな日差しがあったことを思いだします。午後になって急激に風と波が。「14時50分頃の海」一生忘れられない景色。
この日にご案内したお客様は、同日に(同じ船ではなかったと思いますが同じ会社の)観光船に乗る予定でしたが、1週間ほど前に気が変わってツアーに参加された方でした。ほんの一つの何気ない選択でその命さえ分岐していくかと考えると、言葉にならない複雑なものを感じます。
そして、この事故で亡くなられた方々のご家族も、知床の住民も、悲しみ、苦しみ、葛藤、行き場のない怒り、それでも前に進もうとする覚悟、色々なものが目がぐるしく感情に湧き上がってくる一年でした。マスコミの取材や報道番組の「このように伝えたい、こうしたテーマで」という取材前から方向性が決まっているように思える制作のしかた、勿論ながら亡くなられたご家族側の視点での番組が必要ですし、事故の原因解明や事故の責任を問うことも重要です、ただ、これからはそこに加えてこの事故で少なからず地域住民の誰もが心に傷を負いながら前に進もうとする姿勢も伝えてほしいですし、それを阻害するような事がもしあればやめてほしいとも思います。この数日の報道を観ていても、やはりひどく苦しい気持ちになります。
知床の大きな分岐になってしまった「4月23日」、また1年考えていきます。来年の今日、この景色はどうなっているのでしょうか。
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